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挫折の経験はなぜ必要?企業が聞きたい経験の選び方

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「挫折した経験を教えてください」「一番大変だったことは何ですか?」など、思うような結果にならずに悩んだり、不満の残る結果になり気分が落ち込んだ時の経験を聞かれることが面接では良くあります。そんな時、あなたならどう答えますか?

「挫折経験なんて話したら、マイナスなイメージを与えてしまうかもしれない」
そう考えて「特にありません」と答えたくなる人も多いのではないでしょうか?
しかしそれでは、あなたの魅力を伝えるせっかくのチャンスを逃してしまっている可能性があります。挫折経験は、就職活動ではもちろん、入社後もあなたの良さを活かす力になるものなので、ぜひ伝えられるようにしておきましょう。

今回は、挫折の経験をなぜ企業が知りたいと思っているのか?そして、面接官はどのようなエピソードを期待しているのか?また、挫折経験がない場合の対応について、ご紹介していきます。


企業はなぜ挫折の経験を聞いてくるのか?


なぜ面接官は、わざわざ挫折の経験を聞いてくるのでしょうか?
最初にお伝えしておきたいことは、「挫折経験」と「失敗経験」は似て非なるものであるということです。挫折とは、単なる「作業や行動のミス」という出来事=失敗ではなく、その作業やミスによって心の葛藤が生まれ、後々の自分の行動や考え方にまで影響を及ぼすような経験のことです。

面接官は限られた時間の中で、目の前の学生が自社にマッチした人材かどうかを見極めなければなりません。そのために「自社で活躍してくれそうか?」を常に確認しようと考えています。自己PRやガクチカを聞くのは、その経験の再現性を期待するからです。再現性とは、過去に経験したことと同じような状況になった時、同じ結果(主に成功体験)が得られるだろうという考え方です。

入社後、すべて順風満帆という人はほとんどいません。働く中で多かれ少なかれ壁にぶつかります。そんな時、それをどのように乗り越えていけるのか?を想像するための材料として「挫折経験」が大きく参考になるのです。この経験をしっかりと認識しておくことは、あなたにとっても、入社後の壁を乗り越えていく力になると言えるでしょう。
では、どのような内容を伝えれば、面接官はより想像しやすくなるのでしょうか?
 

挫折経験を選ぶ3つのポイント


面接官は話を聞きながら、実際の仕事の場面とあなたの経験を頭の中で合致させようとしています。つまり、面接官がより想像しやすいようにするには、仕事で求められるシチュエーションと似た状況を話すことがポイントとなります。
 

目標を持って取り組んだこと


仕事は、思いつきだけで、やみくもに突き進めるものではありません。どんな仕事にも必ず目的があり、目標を持って取り組むことが基本です。目標を掲げて努力したことを思い出してみましょう。
<例>  
・TOEICで600点を目指し、毎日3時間以上勉強をしたが、何度受験しても点数が 上がらず止めたくなった  
・アルバイトの飲食店で接客対応No1になると決め、店長や先輩にアドバイスをも らいながら取り組んだが、どうしても3位を超えられず嫌になった

目標を具体的に書くコツとして、数字を使うようにすると良いでしょう。
 

チームで成し遂げようとしたこと


企業では、自分一人だけで完結する仕事はなく、チームで取り組むことがほとんどです。たとえ作業そのものは一人であったとしても、それは必ずチームの成果に繋がるものになります。あなたが、チームに貢献しようとしたことが分かるエピソードを探しましょう。
なお、人数は多い方が望ましいですが、自分以外の誰かと協力して行ったかどうかが大切なので、2人以上であれば大丈夫です。
<例>
・野球部主将としてチームをまとめ、大会1位を目標にしたが、部員の意思疎通を 上手くとることができず、予選で敗退してしまった
・ゼミ演習でリーダーになり、教授賞を目指した。メンバーを引っ張っていこうと、  役割分担やスケジュールを立てたが、参加者が少なくやる気をなくした

この時、自分がどんな役割(リーダーである必要はなく、盛り上げ役やデータ分析担当など、何でも大丈夫です)を持って取り組んだかを書くと、より伝わりやすくなるでしょう。
 

不慮の事態に対応しようとしたこと


仕事を進める中、お客様都合で突然スケジュールの変更を求められたり、メンバーがケガをして進捗に影響がでるなど、想定外のことが起きるケースがあります。
目標に対して知識やスキルなどが及ばずに挫けることの他、不慮のトラブルで断念せざるを得ない状況があった場合は、それを書いてみましょう。
<例>  
・ダンス部でセンターを任され、張り切って部活終了後も毎日自主練習を続けていた ら、バランスを崩して舞台から落ち大ケガで入院した
・何か月も前から計画を立てていた旅行が、感染症の流行で中止を余儀なくされた

こういった場面で、「入院中に一流選手の動画でイメ―ジトレーニングをした」「次の機会に備え、貯めたお金で英会話を始めた」など、気持ちを切り替えて新しい取り組みにチャレンジした経験があれば、必ず伝えましょう。面接官はあなたに大きな期待を寄せるでしょう。
 

挫折経験がないという場合


前項で面接官に響きやすい、挫折体験のポイントをお伝えしましたが、「そんなエピソードはない」「このような経験は思いつかない」という方もいるかもしれません。そんな時は「挫折」ということに捕らわれず、自分の気持ちが落ち込んだ時を思い出してみましょう。

どんな人もずっと気分が上がりっぱなしということはないと思います。今までの人生の中で、気持ちが上がらない、やる気がなくなってしまった、という経験があるのではないでしょうか?まずは、自分の過去を振り返ってみて、思い出したことを書きだしましょう。思い出すために、ライフラインチャートやモチベーション曲線など、どんな場面で自分のモチベーションが上がるのか確認できるツールもあるので、活用してみるのも一つの方法です。

また、過去を振り返ってみた際に、実際に実行したことだけでなく、「やりたかったけど、出来なかったこと」も見つけてみましょう。出来なかったことに対して、悔しい思いが残っている場合や、こうすればよかったという後悔があるなら、それも一つの挫折経験になりますので、振り返りの中で探してみてください。
 

まとめ


挫折経験はその困難を乗り越えたというエピソードだけが、良いと判断されるわけではなく、その経験から自分が何を学んだのか?その経験をその後どのように活かせたのか(活かしていくのか)が重要です。人生には挫折がつきものです。それは社会人生活においても、もちろん言えることです。面接官は、あなたが入社した後のことを考えています。経験の再現性はもちろんですが、その経験を通してあなたが成長することを望んでいます。

逆に言えば、その経験を持っていることは、会社の中で活躍できる力があるということです。
だからこそ、挫折体験は、入社後のあなたの力になるのです。社会人として自信を持って活躍していくためにも、挫折体験をしっかりと調べて、自分の糧にしていただけたらと思います。


【執筆者紹介】

野末 岳宏(のずえ たけひろ)
新卒採用コンサルタント、エンパワーメントカウンセラー
E-Z-ON株式会社 代表取締役。大学卒業後、大手電機メーカー系IT企業の人事・総務部にて22年半勤務。採用活動の企画・運営を行い、社長賞受賞。年間80回以上、延べ8,000人以上の選考に携わった経験を活かし、2012年に独立。新卒採用支援、若手社員の育成サポートに携わっている。
 

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