【仕事内容】企業のお金を診る“経済のドクター”公認会計士
会社の“お金の健康診断”をするかかりつけ医
公認会計士は、企業の「会計」に関するプロフェッショナル。お金の流れを正しく記録し、それが法律やルールに沿っているかをチェックする「監査」の仕事を中心に、税務や経営アドバイスなど、多くの場面で活躍します。例えるなら、会社のお金の“かかりつけ医”。表面的には元気そうに見えても、内部で問題が起きていないかを丁寧に診断し、信頼できる企業運営を支えています。
企業の“お金の健康”を支える、主な仕事
公認会計士の仕事は、数字を扱うだけではなく、企業の未来を見据える力が問われます。代表的な業務をご紹介します。
- 財務諸表監査
企業が発表する決算書類が正確であるかを確認し、第三者としての意見を出します。 - 会計アドバイザリー
会計基準の変更やM&Aなど、複雑な経済活動に対応するための助言を行います。 - 税務支援・申告業務
税理士資格も併せ持つケースが多く、税金に関するサポートを行うこともあります。 - 内部統制の評価
企業内のルールや管理体制がきちんと機能しているかを調査・評価します。 - IPO支援(上場準備)
企業が株式上場する際の財務面での準備や監査を担当します。
公認会計士の働き方イメージ
朝は監査チームで当日の作業計画を確認し、クライアント企業へ訪問。会計データをもとに、必要な資料や証拠書類をチェックします。午後は別の部門の担当者と打ち合わせ。お金の動きに関わる細かな確認作業が続きます。夕方にはオフィスに戻り、報告書の作成と記録の整理。集中力と正確さが求められる一方で、「企業の信頼を守っている」という誇りも大きなやりがいです。
【向いている人】公認会計士に求められる“診断力”と“誠実さ”
数字を追うだけでなく、意味を読み解ける人へ
公認会計士に向いているのは、数字に強いだけでなく、その背景を考える力がある人。そして何より「誠実であること」が、信頼を預かるこの仕事の土台となります。
“数字に現れない真実”にも気づける人に
- 細かい作業もコツコツ続けられる
帳簿や書類の確認には根気が必要。正確さを大切にできる人は頼られます。 - ルールを守ることに責任感がある
法律や会計基準に従う姿勢は、企業や社会の信頼を守る力になります。 - 会話を大切にできる
企業の担当者と丁寧にやりとりし、状況を正しく理解するための“聴く力”も重要です。 - 意味を考える習慣がある
ただ数字を処理するのではなく、「なぜこうなったのか?」を考えられる人に向いています。 - 正しいことを、堂々と言える勇気がある
ときに経営陣に対しても指摘を行うため、公正さと誠実さが不可欠です。
【キャリアパス】専門性と信頼を育てて広がる未来
会計の専門家から、経営のパートナーへ
公認会計士は、監査法人での経験を積んだあと、企業のCFOや経営企画部門、税理士、コンサルタント、起業など、多彩な道に進むことができます。
資格を生かして、信頼と実績を積み重ねていく
1年目:「監査業務の基礎を身につける」
先輩と一緒に企業訪問し、資料収集やチェック業務を通じて実務を学びます。
3年目:「一部の企業を担当、後輩指導も」
クライアント対応を任され、自らの判断力と説明力を磨く段階です。
5年目:「チームを率いて責任あるポジションへ」
プロジェクト全体をマネジメントする立場になり、信頼される存在になります。
10年目~:「監査を超えた経営支援の道も」
IPO支援、会計コンサル、企業のCFOなど、自らの強みを活かして専門分野を切り拓けます。
【やりがい】“正しさ”を支え、未来に信頼を届ける
見えない価値を、しっかりと守る仕事
公認会計士のやりがいは、表には出ない部分で企業や社会の信頼を守ること。「この会社の数字は信じていい」と言える根拠を提供するのが、自分の仕事だからです。
“安心して進める”という信頼をつくる役割
ある中小企業で初めての監査を担当したとき、社長から「会計の見える化が進んで安心して経営判断ができるようになった」と言われた経験が忘れられません。自分の知識と働きが、誰かの決断を支える——それが公認会計士の誇りです。
【将来性】変化する社会で、信頼の専門家はますます必要に
AI時代にも、消えない“考える力”と“信頼”
AIやITが進化する一方で、「人の目による判断」や「説明責任」はますます重要になっています。公認会計士の仕事は、機械では代替できない“倫理”と“判断力”が求められる分野です。
会計の視点で、社会の透明性を支える存在へ
今後は国際会計、ESG、サステナビリティ、IT統制など新たな領域での役割も増加。企業の枠を越えて、社会全体の「見える化」を支える仕事として、未来にも価値を持ち続けます。
【Q&A】公認会計士の気になる疑問、解消します!
ちょっと堅そう?難しそう?そんなイメージに答えます
「公認会計士って大変そう」「自分に向いてるのかな?」という疑問をよく聞きます。そんな声に、やさしくお答えします。
「会計士ってこうなんだ」がわかるQ&A
- Q. 資格を取るのは難しいですか?
A. 難関資格ですが、計画的な学習で合格できます。合格までに2〜3年が平均的です。 - Q. 理系でもなれますか?
A. なれます。実際に、論理的思考を活かせる理系出身者も多数活躍しています。 - Q. コミュニケーション力も必要?
A. はい。企業の担当者と話しながら仕事を進めるため、人と関わる力も重要です。 - Q. 経営者相手に話すのは緊張しそう…
A. 最初は誰でも緊張しますが、丁寧な準備と誠実な対応が信頼を築きます。 - Q. 就職先はどこが多い?
A. 大手監査法人のほか、一般企業の財務部門、コンサル会社など多方面で活躍できます。
【必要なスキル】公認会計士を目指す君に必要な力
誠実に、深く考え、伝える力を育てよう
公認会計士に必要なのは、正確さと論理的思考、そして人との信頼関係を築く力です。学生のうちから鍛えていける力を紹介します。
未来の“経済ドクター”になるために、今できること
- 数字に対する苦手意識をなくす
会計は“数字の言語”。数学ではなく、ルールと意味を読み解く力が大切です。 - 計画的にコツコツ学ぶ力
資格試験は長期戦。毎日の積み重ねが合格への道をつくります。 - 法やルールを理解する力
会計基準や法律の背景を知ることで、提案や判断に深みが出ます。 - 分かりやすく説明する力
難しい内容を、相手に応じて伝える力が実務でとても重要です。 - 信頼される人間性
真面目さ、誠実さ、そして約束を守る姿勢が、公認会計士の基盤になります。
【まとめ】公認会計士という選択、その先の未来へ
「正しさ」を診る力で、企業と社会を支える
ここまで、公認会計士という仕事のリアルを見てきました。会社のお金の“健康状態”を診断し、正しく運営されているかを見極める、まさに「経済のかかりつけ医」のような存在です。誠実に数字と向き合い、社会の信頼を守る——そんな仕事に、少しでも魅力を感じたなら、あなたの未来にもこの道がつながっているかもしれません。