就職活動を進める上で、必ず行うことのひとつに「業界研究」があります。
しかし、実際に進めようとしても、どうのようにすればよいのか分からないという声をよく聞きます。
そこで今回は、知っておくとグッとやり易くなる「業界研究」のポイントをご紹介いたします。
業界研究って何?なぜ業界研究をするの?
就職活動は「自分のやりたいことを実現する」ために、「自分の能力が発揮できる」、
「自分の成長を促すことができる」のにぴったりの企業といかに出会えるかが重要です。
そう考えると一社一社すべての会社を調べられたらいいのですが、そういうわけにもいきません。
そこでまず、どのような業界の企業が自分に合っているのか?
ということを知って、方向性を絞っていく必要があります。
業界研究の進め方3つのステップ
では、「業界研究」はどのような観点で進めていけばよいのでしょうか?
「業界研究」は仕事理解のためのひとつの切り口でもあるので、
これを理解しないまま、むやみに業界を絞っていくのは危険です。
視野が狭くなり、自分に合った仕事と出会う機会を失ってしまうかもしれません。
だからこそ、自分の知見に偏りがないか、
自分が世の中にどのように貢献していきたいか(仕事を通して何を成し遂げたいか)
を意識することが大切です。
そのためにも、世の中を俯瞰し広く捉える「鳥の目」と
仕事を詳細に深く理解する「虫の目」を使って取り組んでみましょう。
(1)全体像を知る(鳥の目)
まずは業界とはどんなものか?の全体像を知ることから始めましょう。
業界とは「取り扱う商品やサービスをどんな風に世の中に提供し利益を上げていくのか」
というビジネスモデルごとに分類したもので、大きく8つに分けることができます。
- メーカー(モノをつくる)
- 小売(モノを消費者に売る)
- サービス(形のないモノを売る)
- ソフトウエア・通信(情報の扱い方を売る)
- 商社(モノを動かして利益を得る)
- 金融(お金を動かして利益を得る)
- マスコミ(情報を届けて利益を得る)
- 官公庁・公社・団体(公共に有益なモノを提供する)
まずはそれぞれについて、どのようなビジネスモデルで、どんなことに貢献しているのか?
提供する商品やサービス、お客様は誰なのか?などを調べてみましょう。
また、世の中の景気情勢や天災等の突発的な出来事により、業界に与える影響は異なるため、
今後の成長性や安定性も意識してチェックしてみると良いでしょう。
なお、業界の分類は、就活サイトではより細かく30〜40業界、
四季報業界地図は、166業界に分かれていますが、
まずはこの8つの分類から始めてみましょう。
(2)身近な仕事、興味ある仕事を調べる(虫の目)
次にやってみたい仕事や憧れの職業など、
自分が興味のある企業をまずは3つピックアップして、
次の項目を参考に深く調べてみましょう。
- 企業理念
- 提供している商品・サービス
- お客様(企業か個人か?志向や年齢層などターゲットは誰か?等)
- 企業の強み・弱み
- 売上や利益の推移
- 企業に関するニュース(技術や新製品・サービス等)
(3)比較する(鳥の目と虫の目)
(2)で調べた企業がどの業界に当てはまるかを確認し、それぞれの企業を比較してみてください。
それらが、異なる業界だった場合、業界による違いは何かを調べてみましょう。
逆にそれらが同じ業界の企業だった場合は、目指す方向や社風、
大切にしている理念などを含めて、その違いを確認してください。
これを何度か繰り返すと、より深く業界研究ができます。
繰り返す中で、できれば同じ業界と異なる業界
それぞれ3つ以上選んで比較してみると良いでしょう。
なお、最初に調べた企業が、どれも同じ業界になった場合、
あなた自身の興味が強くその業界にあることが分かりますし、
異なる業界だった場合は、その共通点を確認し、
自分の価値観がどこにあるのかを調べてみると、就活の軸づくりに役立ちます。
鳥の目と虫の目を何度もいったり来たりしながら、希望業界を見つけていきましょう。
業界研究の調べ方
これまでの内容を調べるためには、いくつか情報収集の方法がありますのでご紹介します。
ただし、どれか一つだけ使って調べるのではなく、
最低でも2つ以上の方法を組み合わせて確認をしてください。
色々な角度から調べることで異なる視点が得られ、バランスの良い情報が集まります。
① 業界団体のホームページ
どの業界にも「協会」、「連合会」、「協同組合」など、
企業が所属する団体があり、それぞれにホームページがあります。
インターネットの特性を活かしたスピーディでフレッシュな
業界動向やトレンドなど多くの情報が掲載されています
② 新聞・ニュース
業界団体のホームページ同様、インターネットのニュースサイトでは
最新の情報を確認することができます。
また、紙の新聞には一般家庭向けの全国紙の他、業界に特化した専門新聞もあり、
より詳しい背景や情報を得ることができます。
テレビニュースは解説員が分かりやすく説明してくれる番組もありますので、
それぞれのメリットを考えて活用しましょう。
③ 書籍・雑誌
それぞれの業界の特徴や動向、職種や仕事の内容など、全体を一通り網羅しているものが多く、
毎年発行される「業界地図」や「会社四季報」では、
その年の最新情報が掲載されています。
また、業界内での市場シェアや成長度合い、売り上げ規模などの順位が書かれているものもあり、
企業をじっくり検討するのに役立ちます。
④ 就職情報サイト
就職情報サイトでは、就職活動をする皆さんの視点で分かりやすく情報が整理されており、
業界の全体像を理解するのに適した情報源です。
また、一般的な情報だけではなく、採用情報や業界セミナー情報など、
就活生に重要な情報もあるので、うまく活用してください。
⑤ 業界研究セミナー
業界研究セミナーでは、その業界で働いている人から生の声を聞くことができる機会です。
現場感のある情報が得られるため、自分の将来のキャリアや活躍する姿がイメージしやすくなります。
⑥ 就職課・キャリアセンター
就職課やキャリアセンターでは、一般的な業界情報だけでなく、
OB・OGから得た他にはない独自の情報を保有しているので、
自分がどの業界に向いているのかを、より具体的に相談できる場となります。
また就職課主催のガイダンスなどは、業界セミナー同様業界の人や採用担当者から
直接話を聞く機会が得られるのでチェックしておくと良いでしょう。
まとめ
日本に登録されている企業は380万社を超えると言われています。
その中から自分にあった企業を選ぶというのは簡単なことではありませんが、
その第一歩として「業界研究」を行うことで、方向性を絞ることができ、より良い企業選びに繋がると思います。
まずは今日から「業界研究」を始めてみてください。
【執筆者紹介】
野末 岳宏(のずえ たけひろ)
新卒採用コンサルタント、エンパワーメントカウンセラー
E-Z-ON株式会社 代表取締役。大学卒業後、大手電機メーカー系IT企業の人事・総務部にて22年半勤務。採用活動の企画・運営を行い、社長賞受賞。年間80回以上、延べ8,000人以上の選考に携わった経験を活かし、2012年に独立。新卒採用支援、若手社員の育成サポートに携わっている。