就職活動を円滑に進めるために「企業選びの軸」をはっきりさせておくことは必須です。
この企業選びの軸が明確か曖昧かによって就職活動の進め方、
さらには入社後の働く意欲に大きな影響が生じます。
そもそも企業選びの軸とは何なのか、なぜ必要なのか、
そしてどのように定めていくかをお伝えします。
企業選びの軸ってなに?なぜ必要?
企業選びの軸とは、就職先の企業を決めるうえで、あなた自身が譲れない条件です。
長く生き生きと働くために必要な指標でもあります。
就活生に必要な理由と企業に必要な理由があります。
就活生にとっての必要性
数多くある企業の中から1社を選ぶ就職活動を円滑に進めるためには、基準が必要です。
その基準になるのが企業選びの軸です。
この軸を定めずに「何となく名前を知っている会社」や「何となく興味のある業界」で
就職活動を進めることは、大海原を地図なしで航海するようなもの。
望む目的地にたどり着くことが困難になります。
企業にとっての必要性
企業選びの軸は、面接時に尋ねられることもあります。
質問の意図としては、就活生と企業側のミスマッチを防ぐためです。
就活生が望んでいる条件や環境がわかっていれば、
企業側としてもその条件が自社で提供できるか否かの判断がつけやすいもの。
実際に入社した後に「思っていた企業と違う」というギャップをなくし、
離職を防ぐことは、お互いにとって重要なことです。
企業選びの軸の具体例
ここからは、企業選びの軸の具体的な内容についてみていきましょう。
代表的なものを5つ紹介します。
- 事業内容
例えば物を扱う企業ならば製造や販売です。
他にも不動産事業や金融事業、EC事業などもあります。
1つの会社につき1つの事業内容とは限りません。幅広い事業内容を手掛ける会社もあります。
- 勤務地
実家から通うのか一人暮らしをするのかで支出に違いが生じます。
また通勤時間にも差が出てきます。通勤時間も仕事時間と捉えると、
片道30分の差がプラス1時間の労働時間となります。体力的な負担にも関連します。
- 給与
基本給に残業代や手当、ボーナスなどが含まれます。
額面と手取りで金額が異なるため、その違いは正しく理解しておきましょう。
- 福利厚生
資格手当や社宅貸与、社員食堂やリフレッシュ休暇などがあります。
福利厚生の充実は、働くモチベーションにも影響します。
- 社風
個人プレイとチームプレイのどちらが重視されるか、
率直に意見を言い合える風通しのよさ、チャレンジを推奨するかしないかなどがあげられます。
人によって惹かれる要素は違うでしょう。
他にも、会社の規模や知名度、海外勤務の有無、社会貢献、副業の可否、
やりがいなども企業選びの軸としてあげられます。
企業選びの軸の見つけ方
最後に、あなた自身が大事にする企業選びの軸の見つけ方についてお伝えします。
自分を知ることから始めよう
企業選びの軸を見つけるために、まずは自分自身のことをよく理解する必要があります。
「興味・関心」、「こだわり・価値観」、「強み・能力」の
3分野から考えてみるのもおすすめです。
![](https://cocosugo.ktv.jp/storage/admin/image/tc9r4sxnj1me.jpg)
「興味・関心」とは、一言でいうと「やりたいこと」です。
「夢中になれること」でもあります。
夢中になれると時間をかけて頑張れ、頑張れば得意になり、
得意はさらなる能力の発揮につながります。
「こだわり・価値観」とは、何を大事にしたいか、どんなことに価値を感じるかです。
家族なのか成長なのか。奉仕、余暇、給与または時間なのか。
こだわりや価値観がわかると自分にとって優先すべきものがわかり、今後の選択の基準が生まれます。
「強み・能力」は、自分に何ができるか、どんな強みやスキルがあるかです。
強み・能力には、生まれながらに備えている先天的なものもあれば、
集中力や決断力、協調性や責任感、実行力などトレーニングすることで身につけられるものがあります。
これら3つの重なりの多い部分に、企業選びの軸が見つかるヒントがあります。
簡易テストで診断しよう
簡易テストを受けることで、自分の傾向を客観的に知ることができます。
ここでは『job tag(じょぶたぐ)』についてお伝えします。
job tagとは、厚生労働省発の就業支援サイトで、
まだ就業経験のない方が「職業の種類」、「その職業での一般的な仕事内容」、
「どんなスキルや知識を持った方が働いているか」などを調べることができます。
「適職を知る」タブ内にある
「職業興味検査」、「価値観検査」、「簡易版職業適性テスト」では、
web上で質問に答えることで自分の傾向を数値で見ることができます。
短時間で結果が出るため、一度は試しておいて損はないでしょう。
おわりに
企業選びの軸に絶対的な正解はありません。
人の数だけ軸の数があるといっても過言ではありません。
また、企業選びの軸は複数あってよいものです。
希望する企業選びの軸すべての項目に該当する企業は限りなく少ないはずです。
複数の条件を設定したうえで、そこから優先順位をつけて決めていきましょう。
【執筆者紹介】
![](https://cocosugo.ktv.jp/storage/admin/image/r1zvbx3hf8g9.jpg)
神田 道雄(かんだ みちお)
国家資格キャリアコンサルタント
飲食業界にて管理職として従事した後、培った教育ノウハウをもとに人材業界へ。就活生を対象に各種就活イベントを企画・運営。その後も幅広い年代のビジネスパーソンのキャリア相談を経て、「学生時代にこそ考えておくキャリア」について情報提供している。