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企業研究のまとめ方で思考を整理。集めた情報を面接で活かす技術

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たくさんの企業パンフレット、ブックマークした採用サイト、OB・OG訪問で書き留めたメモ。あなたの手元には、熱心に集めた情報が溢れていることでしょう。しかし、いざエントリーシートに向き合った時、あるいは面接で「なぜうちの会社なのですか?」と問われた時、その情報がうまく言葉にならない、という経験はありませんか。

それは、情報がまだ「点」のままで、あなた自身の考えと結びついていないサインなのかもしれません。大切なのは、情報をただ蓄積することではなく、それらを比較し、解釈し、自分だけの「武器」へと昇華させるプロセスです。

この記事では、散らかった情報を整理し、選考で本当に役立つ「使える知識」に変えていくための具体的な方法を、一緒に考えていきたいと思います。特別な才能は必要ありません。少しの工夫で、あなたの企業研究は次のステージへと進むはずです。


情報収集のその先へ。なぜ「まとめる技術」が重要なのでしょうか

就職活動における企業研究は、単なる「情報収集」で終わるものではありません。むしろ、集めた情報をどう整理し、自分の中で意味付けしていくか、という情報『編集』のプロセスこそが本質だと言えるでしょう。

多くの学生が、企業のウェブサイトを読み込み、説明会に参加し、たくさんの情報をインプットすることに時間を費やします。それはもちろん重要な第一歩です。しかし、その情報がノートやPCのフォルダに雑然と置かれたままでは、いざという時に引き出すことができません。

「まとめる」という行為は、以下の3つの重要な意味を持っています。

  • 思考の整理:情報を書き出し、構造化することで、頭の中の漠然とした理解がクリアになります。
  • 比較検討の土台作り:複数の企業を同じフォーマットで整理することで、各社の強みや弱み、文化の違いが客観的に見えてきます。
  • 自分との接続:集めた「事実」に対し、「自分はどう感じるか」「自分のどの経験と結びつくか」を書き加えることで、オリジナルの志望動機が生まれます。

つまり、企業研究をまとめる作業は、単なる記録ではなく、あなた自身のキャリア観を深め、面接官を納得させるロジックを構築するための、きわめて戦略的な活動なのです。ここからは、その具体的な方法を見ていきましょう。

自分に合った方法を見つける。3つの代表的な整理ツール

情報をまとめるツールに、唯一の正解はありません。大切なのは、あなたが最も思考しやすく、継続できる方法を選ぶことです。ここでは代表的な3つのツール「アナログノート」「Excel/スプレッドシート」「就活特化アプリ」のそれぞれの特徴と、どのような方に向いているかをご紹介します。

それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分にとっての「最高のパートナー」となるツールを見つけてみてください。場合によっては、これらを組み合わせて使うのも非常に有効な手段です。

1. 手で書く思考の整理術。アナログノートの可能性

最も手軽で、直感的に始められるのがアナログノートです。デジタルツールが全盛の時代だからこそ、手で書くことの価値が見直されています。

メリット:

  • 記憶に定着しやすい:手を動かして書くという行為は、脳を刺激し、情報を記憶に定着させやすいと言われています。
  • 自由度が高い:フォーマットに縛られず、図や矢印、マーカーなどを使い、自分の思考の流れをそのままビジュアル化できます。「この事業とこの事業が繋がっているな」といった気づきを、直感的に書き込めるのが強みです。
  • 思考が深まる:PCでのタイピングに比べ、書くスピードが遅い分、一つひとつの情報をじっくりと吟味しながら書き写すことになります。この「間」が、深い思考を促すきっかけになることもあります。

デメリット:

  • 修正や追記がしにくい:一度書いた情報の修正や、後から得た情報を適切な場所に追加するのが難しい場合があります。
  • 検索性が低い:「あの情報どこに書いたかな?」と探すのに時間がかかることがあります。

こんな人におすすめ:
まずは手を動かしながら考えをまとめたい人、自由な発想を大切にしたい人、デジタルツールが少し苦手な人には、最適な方法かもしれません。

2. 比較と分析の最強ツール。Excel/スプレッドシート活用法

複数の企業を比較検討する上では、ExcelやGoogleスプレッドシートが非常に強力なツールとなります。客観的なデータ分析に基づいた企業選びを目指すなら、ぜひ活用したい方法です。

メリット:

  • 比較検討が容易:企業ごとに行を分け、事業内容・売上・従業員数・社風・福利厚生といった項目を列に設定すれば、企業間の違いが一目瞭然になります。
  • 情報の更新・管理がしやすい:新しい情報を得たら、いつでも簡単に追加・修正できます。ソート機能やフィルター機能を使えば、特定の条件で企業を絞り込むことも可能です。
  • テンプレート化できる:一度自分なりのフォーマットを作ってしまえば、何社でも同じ基準で情報を整理できます。

デメリット:

  • 初期設定に手間がかかる:どのような項目で比較するか、最初にフォーマットを考える時間が必要です。
  • 定性的な情報を書きにくい:「説明会で感じた雰囲気」のような、数値化できない感覚的な情報を記録するには、少し工夫が必要かもしれません。

おすすめの項目例:
基本情報(企業名、業界、売上、従業員数)、事業内容(主力事業、新規事業)、強み・弱み、競合他社、企業理念、社風・文化、働き方(勤務地、残業時間、福利厚生)、選考フロー、自分の共感ポイント、疑問点など。

3. いつでもどこでも。就活特化アプリという選択肢

近年では、就職活動に特化した便利なスマートフォンアプリも数多く登場しています。移動中や空き時間にサッと情報を確認・更新したい人にとっては、心強い味方になるでしょう。

メリット:

  • 機動性が高い:スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも企業情報の閲覧やメモが可能です。説明会の直後に、その場で気づきを記録することもできます。
  • 情報の一元管理:企業情報、選考スケジュール、エントリーシートの控えなどを一つのアプリで管理できるものも多く、情報が分散するのを防げます。
  • 最新情報との連携:企業のニュースや採用情報がプッシュ通知で届くなど、常に新しい情報をキャッチアップしやすいのが特徴です。

デメリット:

  • カスタマイズ性が低い:アプリが提供するフォーマットに従う必要があり、ノートやExcelほどの自由度はありません。
  • サービス終了のリスク:万が一、アプリのサービスが終了してしまった場合、記録したデータが失われる可能性もゼロではありません。

こんな人におすすめ:
スケジュール管理と企業研究をまとめて行いたい人、スマートフォンでの情報収集・整理が中心の人、効率性を重視する人に向いています。

「まとめる」で終わらない。選考で活かすための最終ステップ

さて、ここまで情報の整理方法について見てきましたが、最も重要なのはここからです。整理した情報を、いかにしてエントリーシートや面接で「自分の言葉」として語るか。そのための最終ステップについて考えていきましょう。

それは、「事実」と「解釈」を分けることです。

あなたがまとめたノートやExcelシートには、企業の売上高や事業内容といった客観的な「事実」が並んでいるはずです。しかし、面接官が知りたいのは、その事実の羅列ではありません。その事実を、あなたがどう受け止め、どう考えたのかという「解釈」の部分です。

例えば、シートの右端に「自分なりの解釈・共感ポイント」という欄を追加してみましょう。そして、集めた事実一つひとつに対して、問いを立ててみるのです。

  • 「この企業の『挑戦を歓迎する』という理念は、私の大学時代の〇〇という経験とどう繋がるだろうか?」
  • 「競合のA社ではなく、なぜこの企業はBtoB事業に注力しているのだろう?そこにどんな魅力があると感じるか?」
  • 「この企業の弱みとして挙げられる『海外展開の遅れ』は、自分が入社することで、どのように貢献できる可能性があるか?」

このように、事実に対して「なぜ?」「どう思う?」「自分なら?」と問いかけることで、初めて情報はあなただけの「武器」に変わります。この「事実+解釈」のセットこそが、説得力のある志望動機の核となるのです。

企業研究のまとめは、孤独な作業に感じるかもしれません。しかし、それは企業と、そしてあなた自身と深く対話する、かけがえのない時間です。今回ご紹介した方法を参考に、ぜひあなたに合ったやり方を見つけ、思考を深めていってください。その丁寧な積み重ねが、きっと自信に繋がるはずです。

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