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有限会社 窪田精機工業

代表取締役社長

窪田 和以

interview

「困ったら窪田に!」3代目社長が支えるニッチ技術

神戸市長田区にある有限会社窪田精機工業は、創業から今年で87年を数える老舗の町工場です。現在の代表取締役社長で3代目の窪田和以さんは、祖父が始めた会社で幼い頃からものづくりに親しみ、そのDNAを受け継いできました。今回はそんな窪田精機工業の社長インタビューを通じて、会社の歴史や強み、社内の雰囲気、そして未来へのビジョンをひも解きます。

創業は1938年!祖父から受け継ぐ挑戦の歴史

弊社は昭和13年(1938年)、私の祖父が創業した町の小さな鉄工所からスタートしました。最初はボルト・ナットの製造を手がけ、時代のニーズに合わせて加工技術や製品の幅を少しずつ広げてきた歴史があります。リーマンショックやコロナなどの不況期も乗り越え、地元に根ざした企業として地域の産業を支えてきました。私は子どもの頃から工場が遊び場で、自然とこの道を歩むようになったんです。まさに生まれながらの町工場育ちですね(笑)。

現場で学び、27歳で社長に

学校を卒業してすぐ、家業であるこの会社に入りました。まずは職人の見習いとして、旋盤やフライス盤などの機械操作を一から覚えるところからスタート。最初は失敗ばかりで、先輩方に叱られることも多かったですね(苦笑)。徐々に営業や生産管理といった業務にも携わり、工場の中だけでなく会社全体の流れやお客様とのやりとりも学んでいきました。そうやって経験を積んでいた矢先、父が体調を崩し、私は27歳で社長を引き継ぐことになりました。まだ若かったですし、当時の社員は全員が年上。正直やりづらさを感じることもありましたけど、なんだかんだ現場のみんなが支えてくれて、ここまでやってこられたと思っています。

得意なのは、大きくて難しいもの

うちの主力は、金属部品の機械加工です。中でも、大型のフランジやシャフトといった、削るのが難しい部品の加工を得意としています。たとえば厚さ400ミリのものや、直径1メートルくらいのものを削ることもあるんですよ。「少量多品種」に対応できるのも強みです。1点ものの試作から、大手企業向けの特殊部品まで、幅広く手がけていますし、熱処理や表面処理が必要なときは、業界内の信頼できるネットワークを使って一貫対応も可能です。そして、ただ削って終わりではなくて、「その先の工程」を想定した加工をするよう心がけています。次の工程が楽になるように、あるいはズレやすい素材に配慮して・・といった、先回りした段取りも含めて「ちゃんとしたモノづくり」がしたいんです。

「困ったら窪田さんに」と言われるのが一番嬉しい

「こんなん他で断られてんけど、なんとかなる?」といった相談をいただくことが多いです。「困ったら窪田さんに」と頼ってもらえるのが、一番嬉しいですね。うちの得意な形やサイズじゃなくても、どうにかできないかとまず考えます。他社さんがやりたがらないような難しい加工にも、うちはチャレンジしてみようという姿勢でやっています。数をこなすだけじゃなくて、質をどう担保するかにも常にこだわっていますね。そうした取り組みが認められて、川崎重工業の協力工場として長年、産業機械部品の加工も担ってきました。大手メーカーから公式パートナーに選ばれているのは、技術力と品質管理への信頼があってこそだと思っています。

派手じゃないけど、ちゃんと世の中を支えてる

以前、有名なテーマパークで使われる部品の加工をやったことがありました。現地に行ったとき、「あ、ここにうちの部品が入ってるんだな」とわかって、すごく嬉しかったのを覚えています。うちの仕事って、完成品として表に出ることは少ないし、人の目に触れないところに使われるものがほとんど。でも「実際に使われてる」と実感できる瞬間があると、「やってきてよかったな」と思います。派手な仕事じゃなくても、社会にちゃんと役立ってる。そういうところに、うちの仕事のおもしろさとやりがいがあるんです。

黙々と、でもちゃんと支え合っている

うちの社員は、ガツガツ前に出てくるタイプというよりは、黙々と目の前の仕事に集中する人が多いかな。それぞれが自分のペースで動いていて、にぎやかな交流やイベントが頻繁にあるわけではありません。でも、だからといって関係が希薄なわけじゃなく、必要なときにはきちんと声をかけ合って、自然と支え合っています。大昔は、ちょっとでもミスをすると怒られて覚えるような時代もありましたけど、今は若い人には丁寧に教える空気があります。教わった側も、それを当たり前と思わずにしっかり受け継いで、また次につなげてくれている。それが、うちの技術の底力になっているんじゃないかと思います。

まじめにやる子が、やっぱり伸びる

みんな、自分がすごいことをしているとはあまり思っていません。でも、現場を見ていると、本当に高いレベルの仕事を淡々とこなしている。そういう職人気質の人たちが集まっているのが、うちの一番の財産だと思っています。だからこそ、これから入ってくる人にも、まじめに仕事に向き合える人に来てほしいですね。派手さはいらないし、完璧じゃなくていい。失敗してもいいから、まずはやってみようと思えることのほうが大事です。素直に話を聞ける人なら、必ず伸びていきます。

これからも、人の手で“ちゃんとしたモノづくり”を

ロボットや自動化の話もありますが、私たちは「人の手でしかできないこと」を大切にしていきたいと考えています。「楽をしたい」ではなく、「いいものをつくりたい」という思いを、これからも大切にしたいんです。仕事の効率だけを考えても、そこに面白さはありません。たとえば、どうすればきれいに仕上がるか、次の工程がやりやすくなるか。そういったことを考えながら加工すること自体が、ものづくりの醍醐味だと思っています。若い人がしっかり育ってくれれば、会社はまだまだ成長していけるはずです。そのためにも、教える側が丁寧に向き合い、「ちゃんとしたモノづくり」をこれからも続けていける会社でありたいと思っています。

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