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株式会社京都製作所

常務

大西 利幸

interview

とにかくおもしろい会社。一緒にモノづくりを楽しんでほしい

大西常務は平成元年に入社して35年間設計に注力。電気設計を経て機械設計に取り組み、失われた10年といわれる厳しい時代を切り抜けて現在に至るまで、会社とともに走り続けてきました。その体験を振り返るとともに、変化のスピードが速い今、何を思い、どんな未来を描いておられるのかをうかがいました。

ダイナミックさと緻密さがある仕事

新人の頃は電気設計担当でしたが、しばらくして機械設計をやらないかと先輩に声をかけられたんです。当時は社員数も少なかったので、なんでもできたほうがいいかなと了承しました。機械設計は年単位の長いスパンで取り組むもの、電気設計はできた機械に命を吹き込む緻密な設計。今思うと、ダイナミックな仕事と緻密な仕事、両方に携われたことはとてもいい経験でした。当社は機械の構想から始まって、レイアウトやコストも含めて全体を設計して製造します。当時より多くのプロジェクトが動いている今こそ、若い人には幅広い経験をしてほしいと思います。

ゼロから作り上げるおもしろさ

注文をいただいた時点で、仕様・価格・納期など、お客さんがやりたいことは決まっていますが、それを我々がひっくり返しにいくんです(笑)。レイアウトを変えたほうが使い勝手がいいとか、このロボットよりこっちの方が性能がよくて値段も安いとか、よりよい提案をしていく。それが面白いところですね。機能や部品を増やせば生産性が上がる良い機械になるのではなく、シンプルなんだけど、必要な機能は十分に備えている、というのが良い機械なんです。難しいんですが、それが京都製作所の技術。二つと同じ機械がない、オーダーメイドならではの醍醐味ですね。

お客さんに喜ばれて感じる達成感

機械を納入した後に、「良い機械を作ってくれてありがとう」といわれると嬉しいですね。その機械でお客さんの会社の利益が上がって、社内でも評価してもらえる、それが達成感につながります。営業がいくら売り込みに行っても、ダメな機械を入れたら二度と使ってもらえません。当社の機械自身が最大のセールスアイテムなので、機械が良ければまた注文をくださるんです。工場の真ん中で真価がはっきりと証明されてしまうから、どれだけきれいごとを言っても騙せない。だから絶対にいい機械を納めよう、お客さんに喜んでもらおうと取り組むんです。

苦しい時代でも開発を続けた心意気

私が入社した後にバブルが崩壊して、景気の悪化から売上げが減っていきました。いわゆる失われた10年は苦しい時代でしたが、その間も研究開発の手は止めなかったんです。今までやったことがなかった液晶関係や太陽電池に挑戦して、営業も頑張って仕事をとってきてくれました。ゼロからだったので開発費では大きな赤字を出しましたが、将来必ず会社に残る財産になるという考えで、会社は認めてくれました。私たち技術者は、専門外の分野を学んで研究して実験して…と本当に大変でしたが、結果的にその頃取り組んだ技術が今の主力である電池につながっています。社内で研究したおかげで技術者が育って、次のステップに行けるんですね。実際に、当社の技術が20年前から国内自動車メーカーのモーターやバッテリーに用いられています。時代の流れはEV需要の増加に向かっていますから、電池の売上は100億円にもなり、基礎研究は会社の財産になると実感しています。

常に新しい技術でスキルアップできる環境

今の若い人は我々の頃よりはるかに優秀です。当社の特徴として製造全体に携われるということがあげられます。最初にお客さんのところで現場確認をして、仕様のすり合わせをし、変更点を提案しに行って、図面を書いて機械を製造して納品、その後のメンテナンスまで面倒を見る。こういうプロジェクトが何本も走ってる会社はありません。それが面白そうだから入社したという人が多いですね。新しい技術が生まれるスピードは世界的に加速していますから、当社も負けてはいられません。日々の仕事を通してスキルアップできることを楽しんでほしいですね。

失敗を恐れずチャレンジできる予算システム

当社の評価制度は独特かもしれません。営業が受注すると、受注会議が開かれて、その背景を説明します。例えば1台目が軌道にのったら10台の受注につながるから、今回は開発に注力しつつ価格を下げたいとか。それをふまえて設計者が部品代などの生産コストと設計コストを計算します。設計コストとは納期に合わせた設計時間ですね。その上でBM(バックマージン)を加算します。これは失敗を予算化するものです。当社は毎回新しい設計をするから当然失敗もします。でも予算があるから挑戦できるんです。設計者は冒険をしつつ、高価な部品はやめようとか細部にも注意する。いかにシンプルでいい機械を作るかというのを実現できるのは設計者しかないんです。完成したら、予算内におさまったコストやオーバーしたコストなどの実績を計算して、残った金額が設計者の評価になります。たとえマイナスになっても次に改善できれば経験を生かしたことになります。

目指せ製番担当!

新入社員の皆さんには、まず3年から4年を目処に製番担当を目指してもらいます。構想から製造・納品まで、一つの機械をすべて任せます、という責任あるポジションです。もちろん簡単なことではありませんが、仕事の幅が広がっておもしろみも格段に増します。昔は教育機関がなかったからいきなり現場に放り込まれましたが、今はちゃんと学べるシステムが整っているし、先輩たちもフォローしてくれます。ひとつの機械すべてに自分が関与できるというのは、モノづくりの醍醐味です。私たちも皆さんの成長を楽しみにしていますよ。

そして海外へ

今後は海外市場にも力を入れていきます。ねらいはアメリカと東南アジアで、すでにアメリカのシカゴに現地法人を作っており、売り上げはどんどん伸びています。数字を見れば、海外でも当社の機械とビジネスの方法が通用することが証明されています。東南アジアの人件費の高騰を耳にしますが、人件費が上がれば製造現場で自動化が求められるので、現地の展示会にも出展してさらに開拓していきます。海外志向のある人には、当社はチャンスがたくさんあります。世界をまたにかけて活躍する夢を持っている人にもぜひ来てほしいですね。

レジェンド設計者に倣え

女性の技術者も歓迎です。CADオペレーターは女性が多くて、もう30年以上のキャリアを持つ人もいます。なんせ私がオペレーションについて教わった人ですから。男女ともに産休育休もとれるし、定年の65歳を超えても希望によって仕事を続けられます。長く働いてもらえる環境があるので、最高齢の設計者は75歳です。皆からレジェンドと呼ばれて慕われており、若い技術者と一緒に工場の敷地を散歩されている様子は微笑ましいです。

モノづくりの楽しさを実感してほしい

当社は独自の技術力のおかげで安定して仕事がありますし、売上は国内の業界トップクラスです。利益は社員にしっかり還元する方針なので、賞与等の報酬分はもちろん、社員どうしが交流できるレクリエーションや、異文化にふれて感性を高められる海外旅行も実施しています。温かい空気感の中でのびのびと仕事ができる社風だと思いますし、なにより機械好きな人には面白い会社です。特に包装機の動きはいつ見ても時間を忘れるほどで、私はいまだにわくわくしながら見ています。京都製作所でモノづくりの楽しさを感じてほしいですね。

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