ただでさえ緊張する面接、それがほかの学生もいるグループ面接になると、緊張や焦りが倍増してしまう!
そのようなことはありませんか?
それはグループ面接の特徴や押さえるべきポイントを知らないからかもしれません。
個人面接との違いや、気をつけることがわかれば、その緊張は大幅に減らすことができますよ。
グループ面接と個人面接、何が違うの?
個人面接は面接会場に学生ひとり、それに対してグループ面接の多くは3~5名の学生が一堂に会します。まずは進行という観点で違いを見ていきましょう。
一番の違いは、自分の『持ち時間が短い』こと
例えば個人面接30分とグループ面接(4名)60分を比較してみましょう。単純に割り算すると、グループ面接では一人当たりの時間が15分、と個人面接の半分の時間であることがわかります。すぐに気づくことですが、この当たり前の事実を踏まえて話ができる学生は意外に少ないのです。
持ち時間が短いことで意識することは2つ。
①話しでアピールできる時間が少ないため、態度やあいさつなど会話以外の部分で好印象を与えること
②ダラダラ話すのではなく端的にわかりやすく伝える
この2点を気をつければ、この面接での印象がグンと上がります。
グループ面接の基本的な進行を紹介
①入室
個人面接でよくある「(トントン)失礼いたします」というところから始まることは少なく、担当者に「こちらのお部屋にどうぞ」と入室を促され着席した状態から始まることの方が多いです。
ドアノックから始まる場合は、先頭の学生がノック、最後の学生がドア閉めを担当し、それぞれ入室時には「失礼いたします」とお辞儀をして入室します。
②アイスブレイク
個人面接でよくある、緊張をほぐすための軽い質問(世間話)は、グループ面接では全員と話していると時間がかかってしまうこともあり行わず、簡単に「皆さん、リラックスしてお話しくださいね」などひと言程度で済ます場合がほとんどです。
③面接
面接で訊かれる質問については、特にグループ面接特有のものがあるか、といえばそれはありません。
ただ、『訊かれ方』はいくつかパターンがあります。
・共通質問・・・「皆さんにお伺いします」と全員に対して質問する
・個別質問・・・「〇〇さん(と●●さん)にお伺いします」と、全員ではなく一人または数名に対して質問する
・挙手制・・・・・「~について思いついた方から手を挙げて発言ください」など、挙手を求め、手を挙げた順に
回答する。最後の逆質問は、ほぼこのパターンで行われる
また、共通質問の場合、順番がいつも同じ場合もあれば、「今度は〇〇さんから」と順番が変わる場合もあるので、いつ指名されてもいいように、準備をしておく必要があります。
④退室
通常は、入室時の方法と同じになります。
グループ面接にまつわる疑問あれこれ
グループ面接の流れ、イメージはつかめましたか。
「一番初めに話す人が不利では?」と思った方もいるかもしれませんが、そう思う人もいれば、逆に「ほかの人の話を聴くと混乱するから、先に話してしまいたい」という方もいます。
そのようなグループ面接ならではの疑問質問について、代表的な3つの質問にお答えします。
Q.1回の質問にどれくらい話せばいい?
一人当たりの時間が短いことは承知している、長く話すと印象が悪そう、、、だけど、深堀りを期待して端的に話したのに、「わかりました、では次の方」って言われてしまったら、言いたいことを伝えられない。しっかり話す?端的に話す?どっちだー?というお悩み、もっともです。
結論からいうと、深堀りされなくても伝わるように、『伝えたい骨子(結論、根拠、事例の要約)』は1回の回答で話す、のがお勧めです。ポイントは、伝えたい骨子の中の『事例の要約』です。
事例(エピソード)を「ダンス部でこんなことがあった際に、こうしてああして、そしてさらに仲間とこのように~」とストーリーを長々と話してしまうのは、失敗の代表例です。
そうではなく、このダンス部のエピソードで伝えたいことは何か、活動時のポイントは何か、と内容を絞って話すと、長すぎず、かつ具体的なエピソードも含め、言いたいことを伝えることができます。
Q.隣の人とガクチカがかぶったらどうする?
ドキドキしながら自分の番を待っていたら、隣の人が自分が話そうとしていた『留学』のエピソードを話している!
それも内容もかなり近い。このような時は、同じことを話しても目立たないから、他のエピソードに変えるべきか。
答えはNOです。同じ『留学』がテーマでも同じ話にはなりませんから安心して話してください。
もし、似たような話になることが心配であれば、「留学で自分から話しかけた」「毎晩予習と復習を頑張って授業についていった」など『何をした』かを言うのではなく、『なぜそれをしたのか』という自分の考えや想いを多く話すようにするとよいでしょう。
行動の裏にある考えや想いは人それぞれ、そこが自分固有のエピソードになります。
Q.他の人が話しているときの態度は?
こちらは、変に意識することなく、自然体で、「そうなんだ、なるほど」と頷きながら、楽しんで話を聴いてください。
ただ、聴いている態度も面接官は見ていますので、その点は注意が必要です。
自分の番が終わって気を抜いていたり、次は自分の番だからと、遠くを見つめて自分の言うことを反芻していると、「この学生は、人の話を聴いていないな」と印象が悪くなる可能性があります。
グループ面接を勝ち抜く心構え
では最後に、グループ面接に臨む際の心構えについて考えましょう。
面接時の心構えは個人でもグループでも基本は同じですが、グループ面接では、特に次の2つの点をプラスして意識してみましょう。
周囲に惑わされない自分を信じる気持ちを持つ
他の学生がどんな実績満載の素晴らしい話をしても、その話に面接官が「それはすごいですね」と反応したとしてもまったく関係ありません。
この面接を通過するためにがんばって準備してきたことや自分自身の強みやその会社への想いを信じて、質問に素直に答える、ただそれだけに集中してください。
「隣の人すごい、負けた」などと思ってしまったら、それは隣の人にではなく、自分に負けたということです。
グループ面接は、学生同士を比較するためにグループにしているわけではありません。周囲を気にせず自分に集中すること、これが大事です。
『面接官の印象に残す』ことを意識する
グループ面接では、1回に5人を1日で6回行ったとすると、面接官は1日で30名の学生の話を聴くことになります。誰と何を話したかをすべて覚えているのは、正直難しいかもしれません。
しかし、印象に残る学生のことは実はよく覚えています。ではその『印象に残る学生』はどのような印象を残しているのでしょうか。
大きく分けて2つ、
①態度や振る舞いが印象的
②エピソードや志望動機から気持ちが伝わってくる
場合です。
終始笑顔で話していた、声がハキハキとしてテンポのよい話し方をしているという方は、前者に当てはまります。
また後者の場合は、話の中に自分の考えや気持ちがたくさん盛り込まれており、「本当にがんばったのですね」と面接官の共感を呼ぶ、「それはなかなかできないことですね」と面接官が話に引き込まれる、というケースです。
つまり、自分の感情をまず面接官にぶつける、伝えることで、面接官の感情を動かす=印象に残す、ことができるのです。
まとめ
グループ面接をうまくやれそうなイメージはつきましたでしょうか?
グループ面接と一口に言っても、時間も人数も様々です。ですが、2人であろうと10人であろうと、グループ面接に臨む心構えや注意するポイントは同じです。
これらのポイントを参考に、自分らしく面接に臨み、ぜひ良い結果を呼び込んでください。
【執筆者紹介】
津田 典子(つだ のりこ)
キャリアコンサルタント、和光大学非常勤講師
ANA客室乗務員インストラクター、チーフパーサーとして11年従事した後、採用コンサルタントとして10社の新卒・中途採用業務に携わる。これまでに3大学にて4000件超の就職相談に関わり、現在は和光大学にてビジネスマナーとキャリア教育に力を注ぐ。