“就活で忙しく移動している中、
ふと気が付くと携帯電話に応募した企業から着信履歴が残っていた”
こんなとき、みなさんはどうしますか?
早く折り返しの電話をかけないと・・・
と焦る気持ちからその場ですぐに電話をかけるでしょうか?
相手からの電話に出られなかったときには、できるだけ早く折り返しの電話を掛ける。
これは電話応対の基本的なマナーですが、実はここに大きなおとし穴があります。
迅速性だけを重視して慌てて折り返し電話をかけたばかりに、相手に失礼な人という印象を残してしまうこともあります。
今回は、就活中にやりがちな企業からの折り返し電話の事例と、好印象を残す折り返し電話のマナーをご紹介します。
就活中の応募企業からの着信に気付いた時、どうする?
応募中の企業から突然電話が入ると、期待と不安と緊張で焦ってしまうのも当然です。
今まで友人や知人と電話で話すことはあっても、企業の担当者との電話は初めて体験すること、戸惑いがあっても仕方がありません。電話はすぐに出るのが鉄則ですが、移動中や気が付かなかったときなど、電話に出ることができないことも多々あるものです。
着信に気が付くと、あわててすぐに折り返しの電話をかけてしまいがちですが、焦る気持ちを抑えてまずやらなければいけないことがいくつかあります。
それが、以下の5つです。
- 発信者を確認する
当たり前のことのようですが、発信者誤認は意外と起こりやすいケースです。
特に複数の企業に応募している人は、同時期に複数の企業と電話でやり取りすることが多く、勘違いで発信者を誤認してしまうケースが見受けられます。応募先の電話番号を登録している場合は問題ありませんが、電話番号のみが着信記録に残っているような場合は、発信者がすぐにはわかりません。
まずは発信者を確実に確認しましょう。
電話番号のみが残されているような場合は、応募中の企業のHPから電話番号を確認することができます。
応募先が複数ある場合は、あらかじめ応募先の電話番号を登録しておくと着信があった場合余裕を持って対応することができます。就活中は番号登録をお勧めします。
留守電メッセージを確認する
企業からの電話には、多くの場合留守電に何らかのメッセージが残されています。
慌てて折り返しの電話を掛ける前に、留守電メッセージを確認しましょう。
次の選考に進む可能性が高いメッセージには、確実に対応しなければいけません。
企業が何を伝えるために電話をしてきたのかを把握して、それに応じて準備をしてから折り返しの電話をかけましょう。次の面接の日程のお知らせなのか、何かの伝達事項なのかによって事前の準備が変わってきます。
たとえば、「○○時以降に再度お電話します」というメッセージが残されていたのに、すぐに折り返しの電話をかけてしまうと相手に迷惑が掛かってしまうことがあります。それどころか、メッセージも見ないで電話をしてきたのかと不信感を持たれてしまうことになりかねません。
まずは、確実にメッセージを確認することが重要です。
このようなケースは、指示された時間に折り返しの電話をかけるのが原則ですが、その前に“電話に出られなかったお詫び”と“留守電メッセージを確認した旨指示された時間に折り返しの電話をする”というメールを入れると丁寧です。
折り返しの電話をかける時間を確認する
電話は受けた相手の状況がわかりません。そのため、電話を掛ける際には出来る限り相手の状況を推察して行う必要があります。折り返しの電話の際も同様です。
それが、時間帯です。
ビジネスマナーとして、以下は電話をかけることは避けた方がよいとされている時間帯です。
・出社直後 (9時~10時頃)
・ランチタイム直前~ランチタイム (11:30~13:30頃)
・退社直前 (17:30~18:00過ぎごろ)
・就業時間外 (8:00~19:00以外の時間帯)
折り返しの電話をかける際には、相手の状況を考慮することが大前提です。
留守電に、「○○時にお電話ください」という具体的な指示のメッセージがある場合以外は、
時間帯に留意しましょう。
業種・業界によって異なりますが、一般的には14時~16時過ぎくらいが適切と言われています。
場所を選ぶ
着信の発信者やメッセージを確認していよいよ折り返しの電話をかけるという時に、重要なのが電話をかける場所です。
電車の中など、通話が社会的にマナー違反とされる場所は論外です。ルールが守れない非常識な人と判断されてしまいます。
また電車を降りたとしても騒がしい駅のホームや、交通量が多い屋外、通信環境の悪い場所は避けましょう。
携帯電話は想像以上に周囲の音が相手に伝わります。周囲が騒がしく、何度も聞き直したり、聞き間違えたりすることは、相手に良い印象は残りません。
落ち着いて静かに会話ができる場所を選んでください。
ペン、メモ、スケジュールを準備する
応募先に折り返しの電話をすることは、とても緊張するものです。そのため、相手の話すことが頭に入らなかったり、勘違いして聞き取ってしまうことがあるものです。
必ずペンとメモを準備しましょう。落ち着いてメモを取り、日時など聞き間違いのないように注意します。
また、自分のスケジュールを事前に確認しておくことも重要です。特に携帯電話でスケジュールを管理している人は要注意です。面談の日程調整が行われることも多く、通話を中断してその都度スケジュールを確認することは、配慮の出来ない人と思われてしまいます。すぐに確認出来るよう手元に置いた状態で臨みましょう。
好印象を残す電話のマナーは?
電話は、聴覚だけで行うコミュニケーションです。
視覚情報がない分、あなたの声のトーンやスピード、話し方や言葉遣いが相手の印象に残ります。電話では、対面で話すときとは違う意識を持って応対しましょう。
では、電話で相手に好印象を残すにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントは3つです。
- ポイント1
第一声で勝負する
電話での第一声は、対面での第一印象と同じです。
声のトーンが低すぎたり、語気が強すぎたり、早口や滑舌が悪くて何を言っているのかわからなかったり、この印象があなたの印象になります。
声のトーンはいつもよりやや高めを心掛けて、第一声を発しましょう。
ドレミファの“ファ”や“ソ”くらいのトーンが最適です。
- ポイント2
いつもよりややゆっくりのスピードで話す
電話の早口は、相手が聞き取りにくいだけでなく、聞き間違いによる誤解が生まれます。
ゆっくり話すことを意識しましょう。特に普段早口の人は意識していても早口になりがちです。顔の見えない相手ですが、自分が話していることを理解してもらっているかどうかを確認しながら会話を進めましょう。
ゆっくり過ぎると、相手がイライラすることもあります。相手の話すスピードに合わせる配慮も必要です。
- ポイント3
笑声を意識する
第一印象を良くするために笑顔を意識するのと同様、声だけの会話において大切なことは笑声です。笑声の作り方は簡単です。電話の向こうにいる人に笑顔で会話するだけです。
電話での通話はどうしても下向きがちになり、声もこもりがちになります。首を曲げず
下を見ずにきちんと顔を上げて、笑顔で会話しましょう。笑顔になるだけで、声までも明るく穏やかになります。
それだけで、相手が感じる印象が変わります。
いかがでしたか?
特に折り返し電話は、あらかじめ準備が出来る時間的な余裕があります。
慌てることなく、最低限の準備と心構えをして臨みましょう。
選考が進むにつれ、応募先企業担当者との電話のやり取りは増えていきます。
基本的な準備と心構えが整えば、折り返しの電話対応も落ち着いて出来るようになります。きちんとした電話対応でライバルに差をつけ、就活を乗り切りましょう。
【執筆者紹介】
山本 洋子(やまもと ようこ)
キャリアコンサルタント、企業研修講師
大手航空会社で25年間国際線CAとして乗務、訓練教官、採用面接官を務め約6000人のCAの育成にあたる。退職後は保険会社で7年間営業に従事、現在の研修会社を設立。官庁や企業にて研修を行い人材育成に携わる。著書「どんなストレス、クレーム、理不尽にも負けない一流のメンタル100の習慣」(朝日新聞出版)