キミの研究がカタチになる!
淺沼組が誇る技術研究所。コンクリートの専門家として大阪工業大学で講師も務め、「見ただけでコンクリートの寿命がある程度分かる」という山﨑所長に、技術研究所の役割と貢献について聞きました。建築関連の研究開発を志す人にとっては、最高の環境がココに!
類まれな独自性を発揮する研究機関
私が所長を務めている技術研究所は、1987年の株式会社創立50周年を記念して設立されました。コンクリートをはじめとした建設資材や施工技術の研究開発を行い、実際の現場での活用を前提にした、淺沼組独自のノウハウを蓄積していくという使命があります。
全国規模で事業を展開するゼネコンなら、その多くが研究機関を関東にもっていますが、淺沼組の技術研究所は関西(大阪)に拠点をもち、様々な観点で独自性を発揮しています。特に研究者の働き甲斐という点においては、秀逸だと考えています。
自分の研究開発に没頭できる!
現在のメンバーは25人(2024年8月時点)で、全国の大学や大学院から、建設材料や構造について学び、研鑽を積んできた優秀な人材が集結しています。大手の研究機関ともなると研究所員が200人という規模も珍しくないだけに、少ないように感じるかもしれませんが、その分、自分自身の研究開発にしっかりと向き合い、追究することができます。大規模な研究所だと、所長や会社からのトップダウンで分野外や関心のない研究を指示されることも少なくないのですが、当研究所では自分の研究に没頭できます。
セメントを使わないコンクリートの開発
現在、当研究所で重点的に追究していることの一つに環境配慮型の建築資材の開発があります。コンクリートを例にとると、強固な建築物には欠かせないコンクリートは、時代とともにそのニーズが移り変わってきました。バブル経済絶頂期の1990年代初め頃から2000年代初頭の高層ビル全盛期までは、硬い、強固なコンクリートが重宝されました。現在はSDGs、サステナビリティの時代です。実はコンクリートは、原材料であるセメントを作る際に二酸化炭素をたくさん排出します。セメントをいかに使わずにコンクリートを作るかはゼネコンの課題であり、淺沼組も積極的に取り組んでいます。
現場での技術支援も大切な仕事
コンクリートの他にも、興味深い研究をメンバーそれぞれが行っています。鉄骨構造の設計法であるとか、古い建物の耐震改修の手法、先進的な意匠設計など、先ほどもお話したように、自身の興味関心事であり、かつ実用的な研究に徹底して取り組んでいます。ただし! 研究とは別に、メンバーには工事現場での技術支援という業務があります。現場の社員を専門家としてサポートする役割も担っているんですね。実はこの支援業務は、研究や技術開発にもしっかりと還元されているんです。
現場を知るからこそ実のある研究開発が可能に
現場での技術支援は多岐に渡ります。現場の社員からの要望に応じて、お客様への施工や素材のプレゼンテーション、実際に工事をする職人さんに対する施工技術の説明などを行っています。
部屋にこもり、机にかじりつくだけが、研究ではありません。私たちは現場で活用できる研究開発を進めているので、現場のニーズを知ることは、とても大切な仕事なんです。研究の出発点にもなりますからね。メンバーは皆そのことを十分に理解しているので、よく研究所を飛び出していますよ(笑)。
研究所と現場が密な連携で助け合い、成り立っているという事実は淺沼組の強みだと思いますね。
淺沼組の新ブランドをけん引する技術研究所
ココすご!ポイントでも紹介していただいた、建物のリニューアルに関する淺沼組の新ブランド「ReQuality」は、私たち技術研究所が中心的な役割を担っています。これはまさに環境配慮型のリニューアルをめざすもので、古くなったから壊して新しく建てていたのでは二酸化炭素を排出する一方なんですね。そこで環境配慮型、空間改善型というキーワードを打ち出し、私の前任の技術研究所長が「ReQuality」を発案しました。淺沼組のノウハウと技術の粋を結集させ、建物の価値を維持しながら長寿命化を実現し、省エネとヘルスケア技術で生産性を高める。そして脱炭素・循環型の建物に生まれ変わらせ、価値の向上にも貢献していきます。
健康増進効果の高いオフィスが完成
こちらの写真は、「ReQuality」のモデルケースとしてリニューアルした、2021年9月に竣工した当社の名古屋支店です。二酸化炭素の排出量を削減したコンクリートや、土や木などの自然素材をふんだんに使用しました。いくつか成果が現れましたが、一つは脱炭素です。新築と比較してリニューアル工事における二酸化炭素の排出量を85%も下げることができました。また、健康面に関してもデータが出ていて、働くうえでの社員の抗疲労効果が、リニューアルを施していない他の支店と比べて高いという事実がわかりました。つまり、健康増進効果が高いということが数値として出たんです。これは大阪公立大学の脳科学の先生と共同で論文にまとめ、日本疲労学会で発表しました。
風通しの良さが良質な成果の源に
技術研究所の所長として大切にしていることがあります。それは、メンバー同士がフラットな関係を保つこと。例えば、会議では必ず1回は発言する。たとえ1年目の新入社員でも、相手が社長であろうが、大学教授であろうが、質問や議論を求めているんです。これには、研究をより有意義なものにしていきたいという思いがあります。
ただ、淺沼組にはそもそも風通しの良さという社風、土壌があるので、みんな臆することなくコミュニケーションをとっていますよ。先日は入社2年目のメンバーがインスタグラムで社長と対談していました(笑)。また、研究所のレイアウトについてメンバーにアンケートをとったところ、所長の私のデスクを研究室の真ん中において、その周りをメンバーで取り囲むという案も出ました。「誰とでもどこからでも話ができる」ということでさらに風通しの良い技術研究所の実現に向けて協議を進めています。
社会貢献とワクワクを兼ね備えた仕事
淺沼組の技術研究所の魅力は、研究所で開発したことが、すぐに現場で活用されるという点です。つまり社会に実装されるスピードが速いのです。こういう建物を作りたい、こんな材料を作りたいという夢や目標を叶えられるだけでなく、それがスムーズに社会貢献につながっていくんです。
自身の研究やアイデアがどのようにして建築建物や土木構造物に展開され、社会に貢献できるかについて、悩んだり、考えあぐねたりしている人もいるかもしれません。そんな方にもぜひ淺沼組の技術研究所を訪ねて欲しいと思います。私たちならその価値を発掘し、きっと活躍できる場を提供できるはずです。